膝を曲げる方向

 太極拳初心者の方は「膝をつま先の方向にだけ曲げる」ができないことが多いです。男性よりも女性に多い傾向があります。これはおそらく、女性のほうが男性よりも柔らかい関節をしているため、少しくらい横に曲がってしまっても気にならないのではないかというところと、骨盤が男性よりも広いので、片足に体重を載せる際に、骨盤の外側位置を足の外側よりも大幅に外にずらして載せてしまうことにあります。

 このような姿勢になると、膝の上からの体重が載ってくるラインと、膝の下から足首まで、足裏に体重を伝えるラインにずれが生じ、膝が内側に入る方向に力が加わります(力の方向は実際は3次元なので、写真では少しわかりにくいかもしれません)。これにより、「健康のためにはじめた太極拳なのに膝が痛いのよね~」となってやめてしまう方も出てきてしまいます。

膝1

 こちらが体重を後ろ足に載せて、前進した際の正しい方向に膝を曲げた状態です。

膝2

 膝から上の体重が載ってくるラインと、膝から足首まで、足裏に体重を伝えるラインがほぼ一直線で、足のの外側と骨盤の外側も垂直ラインでほぼ同じ位置にあります。後ろ足の膝をつま先が向いている方向にだけ曲げていき、その際に後ろ脚(この場合左脚)の股関節を伸ばして大腿直筋をぐーっと伸ばします。膝をつま先に向けてそのまま地面に突き刺しにいくようなイメージです。そうやって、後ろ足に載ったあとに前進していき弓歩(ゴンブー)を作ります。こうすることで後ろ足の踵(かかと)に体重を載せたまま前進することができます。

 この二つの写真を見て「前足の膝の曲がり方違うし、体重の載っている位置違うんじゃね?」と思われるかもしれませんが、上の写真の場合、紫のラインのずれ幅分、前足の膝を伸ばさないといけなくなるためです。どちらも後ろ足に体重を載せきっている状態です。

 太極拳に限らず、体重を載せた状態では、膝は常につま先の向いている方向に曲げる必要があり、そうでないと膝の靭帯を痛めてしまいます。こうしたことを意識して生活するのは難しいですが、太極拳では片足に体重を載せる動作が多いので、自分の動作の癖を認識しやすくなります。

ちなみに正しい動作の方も、太ももはかなりきついです(笑)
ただ、上の写真のような場合とはきつい場所が異なります。
こうしたことに注意していれば、筋肉痛はあっても関節痛は起きないのが太極拳です。

皆様もよき太極拳ライフを!