多くの武術では、「武器は手の延長」という認識で、徒手→武器がランクアップのような捉え方をしていることがあると思います。
しかしながら、武術は、戦いの場で技術が発達してきたものであり、最初から素手で戦いの場に赴くことは、なかったはずです。古い時代は、大抵の兵士は徴兵された農民なので、通常は生活のために農作業をしているため、戦時でもせいぜい1、2種類の武器を練習しているくらいだったと思われます。
したがって、武器を使用した技術こそが先に発達し、戦場で武器が破損する、または失った時に「こんなこともあろうかと徒手格闘術も学んてました」とはいかず、そのような場合でも、なんとか武器を使っていた時の動き(体の動かし方、武器の使い方)で生き延び、それが時代とともに徒手格闘術に応用されていったのが、自然な流れではないでしょうか。
我々の太極拳もそうですが、古い武術ほど、素手同士の戦闘を想定した場合、型の意味がよくわからないことがあります。それはもともとが武器を扱っていた動作で、武器を手放して型を行っていることが原因の一つに挙げられます。
ですので、弊会では「武器は手の延長」ではなく「手は武器の縮小」と考えます。そう捉えると、動作の意味や、動かし方などがしっくりきやすいのです。
もちろん現代では、動作のベースとなった槍や刀(中国刀)を持ち歩くなどできないので、徒手の套路や推手を教えていますが、こういった成り立ちから、本来は武器を使って行う推手の、素手バージョンも練習します。
刀推手の素手バージョンです。
手刀を武器とみなし、相手の武器を体に触れさせないようにさばきます。
弊会ではこちらに掲示した推手以外にも、武器を想定した推手なども実施し、太極拳を、より深く理解していただけるようにしています。
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