はじめに
6/8(日)に、棒相撲講習会&掛だめし稽古会が、高岡市川原公民館で行われました。今回は棒相撲普及協会会長の武田先生をお招きし、基本練功をみっちり習うことができました。
武田先生がいろいろと検証されているテクニックを、惜しげなく開示していただき、「なるほど」と唸らせられ続ける会でした。

棒相撲にみられる太極拳的技法
武田先生のおっしゃっている、棒に対して全身で圧を加えて、相手と拮抗(きっこう)状態を作るというのは、我々太極拳修行者は日常的に行っていることで、掤(ぽん)を使って、相手とつながった状態になるということと共通していると思います。こちらの記事でも書きましたが、太極拳は、全体が風船のように膨らみ、その膨張する力を相手に加え続け、防御や攻撃に応用していきます。
棒相撲でも、相手と繋がりを作り、相手のバランスを感じとり、相手のバランスの弱いところに力を加え、崩すように誘導するという技法を基本とされており、力ずくで対処することを良しとしないご指導をされています。
また、富山支部代表の太長根先生が、棒で拮抗を作るときには「饅頭(まんじゅう)を上から潰したら、横からアンコがでるように」と表現されていて、これもなかなかに秀逸な表現だと思います。例えばバランスボールの上に座ったとき、上は窪んで、横に膨らみが増えるのはイメージできるかと思います。内圧は変わらないが、上からは体重に押さえつけられ、下方向は床があるので変形できないため、横方向に膨らむしかなくなるのです。
この状態を、棒という媒体を介して相手に伝えるのは結構難しく、さらに、棒を掴むときに手のひらが向かい合うように握るため(太極拳では陰陽掌。基本的な槍棍の持ち方)、単純に両手を前に推(お)すだけでは、相手の両手に棒を張りつけることがなかなかうまくいきません。むしろ、後ろの手は引くように、でも実際には内圧をつかって推すという調整をしつつ、相手の両手に棒をおしつけないといけないのです。。また、相手の不利な位置、方向に力を加えるには、相手のバランス状態を感じ取る必要があり、太極拳ではこれを聴勁(ちょうけい)と呼びます。そして、これらを一瞬で行わないと、実際に試合で活用することはできません

私自身もまだまだ未熟で、棒をにぎっていると無意識に腕力だけで操作しようとしてしまいます。基本練功でうまくできても、いざ試合で勝とうとすると、力みが生じ、上手い人にはつけ込まれてしまうし、より力の強い人には力負けしてしまう。ここを超えるのがひとつの壁ですね。もっと槍や棍も練らないといけないですね!
棒相撲はあらゆる競技に役に立つ
余計な力みがあるということは、いいバランスを自分で崩している状態になり、相手のバランスを崩し、自分は崩れないということは、あらゆる武道武術、はてはスポーツやダンスにも共通して意識されていることかと思います。
棒相撲は、棒を両手で持っている分、手をつかって器用に立ち回るということに制限がかかっているため、ごまかしが効きにくく、精密なバランス感覚を養えます。太極拳では站樁(たんとう)功や推手などでこの辺を練りますが、棒の制限があると、より一層練度を挙げれると感じます。
安全に、楽しく競い合え向上しあえる。棒相撲はそんな競技です。
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