人生100年時代には健康寿命を伸ばそう

 最近よく言われている「人生100年時代」。リンダ・グラットン氏の著書「LIFE SHIFT」で一躍バズったキーワードです。 日本語訳が発売されたときすぐに購入し読ませていただきました。
長寿命化がこのまま進んでいけば、平均寿命が100年くらいになり、これまでの60歳(最近は65歳か)くらいで定年を迎えて余生を過ごすというモデルは成り立たなくなってくるということから、未来の生き方や働き方について、モデルケースを用いてわかりやすく解説されています。

 厚生労働省が平成29年に発表した簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.09年、女性の平均寿命は87.26年となり、私が生まれた時代からみても10年近く伸びています。現在40代の私が60代になるまでの20年間で、さらに伸びていくことが予想されていて、内閣府の「平成29年版高齢化社会白書」の平均寿命の将来推計によると、2050年には男性で84.02年、女性は90.40年となっています。

 一方で、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」ですが、2016年時点では男性が72.14歳、女性が74.79歳となっており、こちらも少しずつ伸びてはいるものの、平均寿命との差が10年前後あります。つまり、平均して10年程度は要介護状態でいるということになります。

 さて、「ねたきり」や「要介護」の主要な要因として、ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)という概念が2007年に日本整形外科学会によって提唱されています。ロコモティブシンドロームとは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」のことを表し、日本語では「運動器症候群」と言われます。

 運動器の障害の原因には大きく分けて「運動器自体の疾患」と「加齢による運動器機能不全」があります。運動器自体の疾患とは、加齢に伴う様々な運動器疾患で、変形性関節症、骨粗鬆症に伴う円背、脊柱狭窄症などがあげられます。加齢による運動器機能不全とは、筋力低下、持久力低下、深部感覚低下、バランス能力低下などがあげられ、さらに引きこもって運動不足になると加齢による各種能力の低下とあいまって「運動機能の低下」が起こり、容易に転倒しやすくなります。若くても、デスクワークが日常の人は、筋力やバランス感覚が衰えがちです。

 また、先日、金融庁が、年金だけでは老後の資産を賄えず、95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要ですという試算を公表し、年金に頼りきらず自分で資産形成してねと言ってきました。ぶっちゃけこの資産形成ってむりげーな人多いと思います。
さらに政府の未来投資会議とやらでは現在65歳の定年を70歳に引き上げる方針を表明しているそうです。少子高齢化が進む中、年金の状態が良くなるわけもなく70歳どころか80歳まで働く社会になっていくことは、将来高い確率で起きてくることでしょう。

 こうした社会情勢では、いくつになっても働けるように、寿命≒健康寿命にしていくことを余儀なくされるでしょう。

 たとえ経済的に不安がなくても、寝たきりや要介護で10年過ごすというのは人生の幸福度を著しく下げることになります。願わくば死ぬ間際まで自分の足で立って、歩ける体でいたいものです。

 そのためには下半身の筋力やバランス感覚が大事です。太極拳の健身効果でも述べましたが、太極拳はその両方に効果があります。

いくつからも始められる太極拳ですが、早ければ早いほど将来の健康によい影響を得られます。そして継続が大事です。続けるためには、つらい鍛錬よりも、楽しく心身を整えていく感じでやるのがお勧めです。
特に、ブルース・リーやジャッキーチェンが永遠の定番な大きいお友達だったら、楽しくてしょうがないですよ(笑)