太極拳で肩こり・首こりを改善|整体士が教える体の使い方から根本解決

マッサージや整体に通っても、しばらくすると肩こりが戻ってくる、なんなら帰り道ですでに。そんな経験はありませんか。

肩こりは、肩そのものをほぐすだけでは一時的に楽になっても、根本的に改善しにくいことが多くあります。原因が肩以外の場所、特に体の使い方や姿勢にあるケースが多いためです。

デスクワークストレス

この記事では、整体士の資格を持ち太極拳を10年以上指導してきた立場から、肩こり・首こりの根本原因と、太極拳がなぜその改善に役立つのかを解説します。

肩こりの根本原因は「体の使い方」にある

肩こりの相談を受けるとき、肩だけを見ても改善しないことがほとんどです。整体の現場で多くの肩こりを見てきましたが、本当の原因は次のようなところに隠れています。

猫背・前傾姿勢による肩への負担

デスクワークやスマートフォンの使用が続くと、頭が前に出た姿勢(前傾姿勢)が定着しやすくなります。頭の重さは体重の約7%ほどあり、頭が前に出るほど首・肩の筋肉がそれを支えるために常に緊張し続けることになります。マッサージで一時的にほぐしても、姿勢が変わらない限り肩こりは繰り返されます。

体軸が乱れ重心が浮いている状態

もう一つ見落とされがちな原因が、重心の位置です。体軸を傾けるなどして、重心が体の中心から外れていると、それを補うために上半身の筋肉、特に肩や首に余計な力が入り続けます。体軸を整え、下半身を使ってしっかり立つことができていない人は、重心がブレて、上半身でバランスを取ろうとして肩がこりやすくなります。

太極拳における姿勢の考え方については、太極拳の姿勢もあわせてご覧ください。

太極拳が肩こりに効く3つの理由

① 放鬆(ほうしょう、ファンソン)で肩の緊張がほぐれる

太極拳には「放鬆」という、余分な力を抜いた状態を作る考え方があります。多くの人は気づかないうちに肩に力を入れて生活しています。太極拳の稽古では、繰り返し「不要な力を抜く」ことを意識する場面があり、これが慢性的な肩の緊張を緩める練習になります。

放鬆についてさらに詳しくは、放鬆と脱力は違うで解説しています。

② 体軸の保持と重心移動で上半身への負担が減る

太極拳は体軸を整え、重心移動を中心とした運動です。下半身でしっかり体を支える感覚が身につくと、上半身、特に肩や首に余計な力を入れなくても姿勢を保てるようになります。力を下半身に伝えることで、肩の負担が自然と減っていきます。

③ 全身の連動で肩まわりの血流が改善される

太極拳は肩だけを単独で動かすことがなく、常に体幹・腕・脚と連動して動きます。この全身の連動運動が血流を促進し、肩まわりに滞っていた血液循環を改善します。肩こりの多くは血流不足が関係しているため、全身を使うこと自体が改善につながります。

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肩こりに効く太極拳の基本練功

教室でも実際に行っている、肩・首まわりをほぐす基本的な練功を2つご紹介します。座ったままでも試せます。

① 肩の上げ下げ(沈肩)

肩を一度すっと持ち上げてから、力を抜いてふっと落とします。これを数回繰り返します。「持ち上げる」のではなく「落とす瞬間に力を抜く」感覚を意識すると、肩に入っていた余計な力が抜けやすくなります。太極拳ではこの「沈肩(ちんけん)」という状態を常に意識します。

肩が動く感覚に慣れてきたら、力を抜いて落とすのでなく、ゆっくりとコントロールしながら肩を沈めましょう(沈肩墜肘)。頭の頂点が天から吊られるように意識すると、首の筋肉のストレッチにもなります(虚霊頂勁)。ただし、心地よいと感じる範囲に抑えて、無理は禁物です。

② 首の回旋(ゆっくり大きく)

①の沈肩状態を作り、うなじの伸びをキープしながら、首を傾けずに左右にゆっくり回します(首だけ回して左右を見る)。早く回すのではなく、できるだけゆっくり、可動域の限界まで意識しながら回すのがポイントです。太極拳の動きと同じく「ゆっくり」が効果を生みます。可動域を無理に増やそうとせずに、心地よい伸びを繰り返し行ってください。

頭を大きく振り回すようなストレッチは、凝りが強い人には負荷が大きいので、まずは、首を傾けずにストレッチさせましょう。両目を水平に保つようにするのがコツです(二目平視)。

これらは応急処置的な効果はありますが、根本改善には継続した稽古が必要です。一時的なストレッチより、普段の姿勢や、体の使い方そのものを変えていくことが本質的な解決につながります。肩こりは、特に頭の位置が重要です。

③ 肩甲骨まわりのストレッチ(含胸抜背と沈肩の連動)

片方の腕を伸ばし、逆の腕で胸元に引き寄せます。このとき肩が上がらないよう、沈肩(肩を落とした状態)を意識しながら行うのがポイントです。肩甲骨まわりの筋肉が伸びているのを感じながら、ゆっくり10秒ほどキープします。左右交互に行ってください。

肩を上げてしまうと、目的の場所にストレッチ効果が得られない場合があります。それがこちらです。

悪い例

一生懸命伸ばしているのですが、肩が上がってしまい。背面からみたときの肩甲骨と背骨の間の筋肉(菱形筋)への効きが悪くなっています。これではせっかくのストレッチ効果も薄くなりますが、わりとやりがちです。

このストレッチをするときに、注意していただきたいのが「肩をあげない(沈肩)」ということです。そうした場合がこちらです。

良い例

太極拳では、胸骨付近を緊張させず背中を張る(含胸抜背)と、肩を沈める動作(沈肩)を同時に意識する必要があります。このストレッチは、その感覚を日常的に養う練習にもなります。デスクワーク中の合間に取り入れても効果的です。

デスクワーカーに太極拳が特に向いている理由

長時間のデスクワークは、肩こりだけでなく全身の緊張状態を作りやすい働き方です。指導していて感じるのは、デスクワーカーの方ほど太極拳の効果を実感しやすいということです。

パソコン作業中は、緊張状態になりやすく、知らないうちに肩に力が入り、呼吸も浅くなりがちです。この「常に力が入った状態」が一日中続くことで、肩こりだけでなく、疲労感や集中力の低下にもつながります。また、パソコンやスマホの操作中は、頭の重心を、頚椎よりも前に出しがちで、首や肩の筋肉に負荷をかけてしまいます。

太極拳の稽古は、この緊張状態をリセットする時間になります。ゆっくりした動きの中で力を抜く感覚を学ぶことは、デスクワークで固まった体にとって、まさに必要な練習です。実際に、デスクワーク中心の会員の方からも「稽古の日は肩が軽い」という声をよく聞きます。

太極拳の姿勢

まとめ

肩こりは、肩そのものではなく姿勢・重心・体の使い方が原因になっていることが多くあります。マッサージや整体は一時的な効果がありますが、根本改善には体の使い方を変えることが必要です。

太極拳は、放鬆による緊張のほぐし、下半身主体の動作による上半身の負担軽減、全身連動による血流改善という3つの観点から、肩こりの根本原因にアプローチできる運動です。特にデスクワーク中心の方には、体をリセットする時間としても効果的です。

慢性的な肩こりにお悩みの方は、一度太極拳を体験してみることをお勧めします。

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