太極拳の打撃って効くの?

太極拳の動作は一見何しているのかよくわからないものが多いですが、これは打ってます!ってのが明確にわかるものもいくつかあります。

例えば、攬雀尾(らんじゃくび)の最後にでてくる双按(そうあん)なんかは、両手を前に突き出しているので、打撃とわかるのではないでしょうか。
ただぱっと見、これ威力あるんかいな?と思ってしまいがちです。

実際、套路(とうろ)をなぞって空気かき回しているだけでは、全然実感できないと思います。
ですので、双按(そうあん)の威力が強いというのを実感していただける方法をご紹介します。

pause2

双按(そうあん)

雪国の人あるあるですが、車が雪にはまって動かなくなったときに、後ろから押す場合、どのような姿勢で押していますでしょうか?
大体の人は、このような押し方をしていると思います。

car1

実はこの押し方、力の伝達という意味ではとても効率が悪い姿勢です。

そして双按(そうあん)の姿勢は、力を伝える上ではとても効率のよい姿勢です。
それを実感するために、以下の手順で手の押す力を感じ取ってみてください。

  1. 壁に両手をついて、この車押し姿勢になります。
  2. 両足をの位置をもう少し前にもっていき、身体を起こします。
  3. 後ろ足の踵(かかと)を地面につけます。
  4. 骨盤を巻き込んで、腰の反りをなくし、後ろ脚の膝も少し曲げます。この時に、膝はつま先の方向に曲げるように気をつけます。
  5. 肘を少し曲げて、肩も楽にして下げます。

※注意点:肘を曲げすぎない、肩甲骨を寄せない、腰を反らない、後ろ足の踵を地面から離さない。要は双按(そうあん)の姿勢で押しましょうということですね。

car2

こうすると、だいたい③~④のあたりで、壁に接触している両手の圧が増えてきます。
⑤まで完成させれば、かなり手の圧力を感じられると思います。
さらに⑤の状態で後ろ足の踵(かかと)を地面に嚙ますようにしておき、姿勢を変えずに前足を浮かせれば、ものすごく手の圧力が増えます。
(ただし姿勢間違ってると効果薄いです)

手の圧力が増えるということは、壁からの反力が増しているということで、それはすなわち、自分が壁を押す力が増していることを意味します。
つまり、それだけ打撃力が強いということです!

雪道でハマった車を最初の姿勢で一生懸命押していても、残念ながら大して車には力が作用してなかったということです。太極拳修行者は、今度からは双按(そうあん)の姿勢で車を押しましょう。せっかくなので、やっていることを生活でも生かしましょう。

トラックだって押せちゃうかも!

car3