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ピラティスと太極拳を徹底比較|成り立ち・思想・効果の違いとは?

ピラティスとは

ピラティスは、ジョセフ・ヒューヴェルトス・ピラティス氏が考案した身体調整法です。氏は病弱であった幼少時代より独学で解剖学を学び、さまざまな健康法や運動を実践することで病気を克服し健康な体を手に入れました。第一次世界大戦中に、イギリスで捕虜となり、収容所に抑留された際に、仲間の捕虜と体力と全般的な健康の回復の手助けをすることを始めました。その身体調整法が後にコントロロジー(=身体を意識的にコントロールする学問))と名付けられ、現在のピラティス・メソッドにつながっており、ダンサーやアスリートの体幹強化や姿勢改善に取り入れれられ、世界的なフィットネス・リハビリ法として普及しています。

ピラティス

コントロロジーとは

コントロロジーとは、体、頭、精神の完全な調和をめざすものである。コントロロジーを通じて、まず自分の体を完全にコントロールすることを覚え、そして運動を繰り返すことで、少しずつ、しかし着実に、無意識の活動における自然なリズムと調和を身につける。

「CONTROLOGY ピラティス・メソッドの原点」より抜粋

哲学的背景

ジョセフ・ピラティスは古代ギリシャ思想である「健全なる精神は健全なる身体に宿る」に強い影響を受けています。また、ヨガや武道にも関心を持ち、それらを融合して独自の方法論を構築したとされていますが、そのアプローチは極めて解剖学的かつ合理的です。第一次世界大戦中に負傷兵のリハビリテーションに用いた経験から、ベッドのスプリングを利用したエクササイズ機器(後にリフォーマーなどの原型となる)が生まれました。

ピラティスの特徴

  • 体幹の強化(パワーハウス): 腹筋、背筋、骨盤底筋群など、体の中心部を安定させることに重点を置きます。
  • 呼吸と動作の連動:胸郭を広げる胸式呼吸を用いて、動きと呼吸を一致させます。
  • 正確性と集中力:一つ一つの動作を正確に行うために、高い集中力が求められます。
  • リハビリテーション起源:負傷からの回復や、姿勢改善に特に効果的です。

ピラティスをおすすめする方

ピラティスは、主に西洋の解剖学に基づいたアプローチで、身体の構造と機能の改善に特化しています。

姿勢の乱れや歪みが気になる人

  • 猫背や反り腰など、日頃から姿勢の悪さを自覚している人。
  • デスクワークやスマートフォンの使用時間が長く、肩こりや首の痛みに悩んでいる人。

体幹(インナーマッスル)を強化したい人

  • 見た目の大きな筋肉ではなく、体の安定性を高める深層部の筋肉をつけたい人。
  • スポーツパフォーマンスの土台を強化したいアスリートやダンサー。

リハビリテーション目的の人

  • 腰痛や膝の痛みがあり、無理なく筋肉をつけたい人。
  • 出産後の骨盤底筋群を回復させたい女性(産後ケア)。  

集中力を高めたい人

  • 一つ一つの動きを正確に行うために、高い集中力を必要とするため、集中力を鍛えたい人。

効率的に身体意識を高めたい人

  • 自分の体の使い方や左右差を把握し、意識的にコントロールできるようになりたい人。

太極拳とは

太極拳は、健康法として取り組む人口が多いため、健康エクササイズの一種として認識されている方が多いと思いますが、太極「拳」という名称の通り、元々は中国武術の流派の一つです。現在多くの方が健康のために取り組まれている簡化24式太極拳は、1956年に中華人民共和国国家体育運動委員会が楊式太極拳をベースに編纂した、体育、治病・予防、延命長寿を目的として制定されたもので、武術性はあまり考慮されていないです。

白鶴亮翅

太極拳の特徴

  • 柔らかな動き:行雲流水(こううんりゅうすい)と言われるほど、緩やかで流れるような動作が特徴で、部分的な筋力に頼らず、全身の連動および重力と体重移動を利用した動きになっています。
  • 武術的要素:動作の多くは防御や攻撃の技術が元になっており、合理的な体の動かし方を学べます。
  • 心と体の統一:練習体系に内観を含み、動く瞑想とも呼ばれます。

哲学的背景

太極拳の練功(練習)体系は、身を守る武術として作らたものですが、中国の文化である陰陽五行思想にも大きく影響を受けており、同じ文化圏で発達した中医学とも親和性が高いです。太極拳は、武術としての力を発するための、身体操作のさまざまな要訣があり、それを守って練功することで、心身一如による五臓のバランス調整と生理機能の安定につながります。

太極拳をおすすめする方

太極拳は、東洋哲学と武術に根ざしており、心身の調和に重きを置いた、緩やかな運動です。

バランス感覚を改善したい人

  • 転倒予防が目的の高齢者や、足元のふらつきが気になる人、普段下半身をあまりつかっていなくて鍛えたい人。
  • 常に重心の移動を意識するため、平衡感覚を養いたい人。

精神的なリラックスとストレス解消を求める人

  • 「立つ瞑想」や「動く瞑想」として、日々の雑念を払えるため、心の平穏を取り戻したい人。

関節に負担をかけたくない人

  • 激しい運動が苦手な人や、関節痛があるが、体を動かし続けたい人。
  • ゆっくりとした動きで、筋力よりも柔軟性や関節の可動を重視したい人。

体力に自信がない、または高齢の人

  • 運動強度が低く、自分のペースで無理なく続けられるため、運動習慣をつけたい初心者や体力維持を目的とする人。

東洋思想や武術文化に関心がある人

  • 健康法の背景にある陰陽五行説や、太極拳の武術性に興味があり、文化的な側面も楽しみたい人。

ピラティスと太極拳の比較表

ピラティスも太極拳も、心と体のつながりを重視し、正しい(望ましい)体の動き方を身につけることを良しとしています。成り立ちの経緯としては、ピラティスは体を健康にすることを目的として作られており、太極拳は身を守る武術としての訓練が、結果的に健康にもよい効果をもたらします。

項目ピラティス太極拳
成り立ち20世紀ドイツ17世紀中国
哲学的基盤古代ギリシャ思想陰陽五行思想、東洋哲学
目的姿勢改善・体幹強化・リハビリ心身調和・養生・武術
動きの特徴体幹重視、精密なコントロールゆったりと流れるような全身運動
主なメリット姿勢矯正、腰痛予防、リハビリバランス改善、ストレス緩和
デメリット有酸素要素が少ない型の習得などに時間がかかる

まとめ

ピラティスと太極拳の、健康法としての比較を行ってきましたが、ピラティスで得られる体幹や姿勢などへの良い効果は、もちろん太極拳でも得られます。ただ、体幹なら体幹、姿勢なら姿勢という部分に焦点を当てトレーニングを行うピラティスは、目標達成の即効性は、太極拳よりもあるかもしれません。ただ、型を身につける、技を使えるようになるなど、達成度がわかりやすい太極拳に比べ、エクササイズとしての動作に特化したピラティスは、継続のモチベーションは保ちにくいかもしれません(個人の感想です)。

「CONTROLOGY ピラティス・メソッドの原点」を拝読させていただきましたが、ピラティス氏は、肉体と精神の均衡、すなわち心と体のバランスが健康にとっては大事なことということを主張されていて、健康問題を人間全体として捉えることは、ある意味東洋的もあり、あの時代の西洋文化圏の人としては珍しかったのではないでしょうか。ピラティス・メソッドの成り立ちには東洋のヨガや武術などにも影響を受けているという説にも、納得がいきます。

私自身は太極拳講師ですから、当然太極拳を推しますが、今回ピラティスについて調べてみて、ピラティス氏の理想については、大いに感銘を受けました。ピラティス氏は「自分のメソッドは50年早かった」と言ったとされていますが、50年以上経った現在でも、氏の理想が実現されていないと感じます。

自分も太極拳を通じて、人が本来持つ健康な状態を保ち、健康がもたらしてくれる恩恵や楽しみを享受できるよう努めて行きたいと思います。

太極拳に興味がある方、体のことをもっと知りたい方は、当会教室で体験できます(石川県金沢市、富山県高岡市)。是非お問い合わせください。

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