太極拳の足の運び

こちらの記事で書いた、サイクロイド曲線を太極拳では具体的にどう適用するのかを説明します。

下図に示すように、前足を付く動作の際に、重心位置、いわゆる丹田と呼ばれる位置を落下&推進させます。ここで重心がサイクロイド曲線の軌道を描きます。(これが難しい)

重心移動2

具体的には、後ろ足の踵(かかと)に載せている重心を前方向にスライドさせます。そうすると、骨盤から上の体全体が重力で落ちようとします。しかしながら、太腿周りの筋肉や臀筋などの張力で、体が少しずつ前方向へ移動するように変化していきます。こうして水平方向に推進する軌道になります。

体の重みの自由落下成分を水平方向に変換することで、自分の体重を真横にぶつけることが可能になります。ベクトルの向きが水平(前進)からずれてしまうので、落下&推進している最中に、後ろ足で床を蹴ったり、着地した前足で体を引き寄せようとする動きはしてはいけません。

簡化24式太極拳では、上歩の際に、前足の踵(かかと)を先に着地させてから、爪先まで着地し、そこから体を前方向に移動させていくやり方になっています。

このやり方では、純粋な落下&推進にはならないのですが、前足が着地した際に前足に体重をかけてしまったり、前進の最中に前足を実(体重をかけてしまう)にしてしまったり、後ろ足の踵が浮いてしまわないように気を付けましょう。床に着地している前足を、床を蹴らずに床から離せるかがポイントです。

前引き2

動作過程としては以下の通りです。

  • 前足を浮かせて、体重は100%後ろ足で支える
  • 骨盤を前進させて落下
  • 下肢の筋肉の張力で重心位置がサイクロイド曲線を描く
  • 水平方向(前方向)にベクトルが変換(ここらへんで前足が着地)
  • 水平方向(前方)に移動
  • 前足は着地してから徐々に体重をかけていく
  • 前足は自分が倒れないように支えるだけ
  • 後ろ足が虚になる程は前進しない(最後まで踵の圧は変えない)

ボディが水平移動している際に、前足に体重を載せてしまうと、前方向への移動を阻害する成分の力が作用するので、落下&推進の威力も落ちてしまいます。

太極拳は前虚後実が基本です。

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