倚天屠龍記2019年版

金庸原作の中華武侠ドラマ、倚天屠龍記の最新版を全話見終わりました。2022年になりようやくレンタルされたので、一気見しました。射鵰三部作と言われる「射鵰英雄伝」「神鵰剣俠(または神鵰侠侶)」に続く最終章。個人的には一番好きです。なんせ太極拳でてきますからね!

金庸作品では他に「書剣恩仇録」「飛狐外伝」に登場する趙半山(ちょうはんざん)が太極拳を使いますが、倚天屠龍記では太極拳を作ったとされる(あくまでも伝説です)武当山開祖の張三豊(ちょうさんぽう)が作品に登場、主人公の張無忌(ちょうむき)が、出来立ての太極拳と太極剣を学び、敵と戦うというシーンあります。

この伝授、といっても張無忌は横で(本人とは知られずに)見てて覚えただけですが、原作では楊式太極拳の套路通りの順番で張三豊が演武し、三番弟子の兪岱巖(ゆたいがん)に覚えさせるというシーン。2019年版はこの套路が簡化24式太極拳套路の順番になっているではありませんか!過去の2009年版では套路は特に行わず、なんか派手なエフェクトだしてなんかすげー的な表現だったのですが、そちらの方がまだよかったかも、、、

しかし、横で見てただけで悟ってマスターするとか、どんだけだよって感じですが、張無忌はこの時点で他に九陽神功(きゅうようしんこう)という内功(ないこう)と潜在能力を引き上げるという乾坤大挪移(けんこんだいない)という心法(しんぽう)を習得しています。どちらも秘伝中の秘伝で、それらをマスターしてるから理解が早いという謎理論で二時間ほどで太極拳を習得してしまいます。金庸作品のパワーアップ時によくある、すべての武学はつきつめれば同じという理屈で、すでに内功達ってるのですぐ会得という展開。乾坤大挪移の方も九陽神功できてるのですぐ覚え、この時点でほぼ無敵。サ〇ヤ人かよってくらいパワーアップし続けます。まあ、幼少時より苦労しまくって人に騙されまくって、不遇で死にかけてた中で九陽神功を会得して命を拾っていて、これは五年かかってますから、ご褒美みたいなもん?

過去に2009年版も拝見しましたが、キャストは2019年版の方がマッチしているように感じました。あと、幼少期に放浪していた際に、かかわる人々のサブストーリーをわりとしっかり作中に入れてあり、ストーリー展開が分かりやすくなっていた印象です。ただ終盤は原作とは展開が異なっており、ここは意見の割れるところかなと思います。個人的には原作のままやってほしかった。

それでもやはり倚天屠龍記は面白い。50話程の長編を楽しく鑑賞できました。

武侠ドラマの戦闘は、武術というよりは内功という謎のパワーを使った超能力的な表現で、アクションシーンもエフェクトが派手なだけになってしまってますが、中華ファンタジーと思えばエンタメとして十分楽しめます。

「飛狐外伝」の方も2022年版というのがあるらしい。こちらも早く日本でレンタルされてほしいものです。楽しみ~。